君の手。僕の手。
携帯が鳴り、彩華からの着信を知らせていた。
「もしー」
「あ、璃香ぁ?今日来てないん?」
「体調悪いから休んだわぁ」
リュウジのことを話さず電話を切り、その日からみんなの連絡も返さなかった。
もちろんリュウジからの連絡も無視していた。
毎日"別れるから"とか"まだ休み?"とかリュウジの心配メール。
いい加減にしてほしい。
一週間程経って久しぶりに彩華からの電話にでた。
「やぁっと電話にでた」
安心したと言わんばかりの声に私は電話越しに笑った。
「ごめん、ごめん」
「ごめんじゃないよー!まだ体調悪いと?」
「いやー。言ってなかったけどリュウジと、ごたごたして今連絡巻いてるんだよね。」
「そうだったの?だけん毎日教室周りにいたわけね…」
彩華がさりげなく言ったその言葉に今の私は何の感情も感じなかった。
「あ!そうそう、今日話したかったのはね」
さっきまでの声とは違い弾むように新しい話題を持ち出す彩華。
「私、聡君と付き合うことになったんだ!」
その声はとても嬉しいそうだった。