君の手。僕の手。
No.2//:Spring
「よしッ」
バタバタバタッ‥
「おはよう」
母の声に気がつき、正面を向いた。
「おはよ」
「スカート短くない?そんな短いと…」
「うっさい」
心配そうな母を横目に玄関を開け外にでた。
入学して二週間目の今日、新しい友だちも出来た勉強もまだ簡単。
あとは彼氏だけだって思っていた。
新しい環境は時間が過ぎるのも早くて‥
何も考えなくていいやってぐらい毎日が楽しかった。
「おーい」
階段に座る何人かの男の人たちがこっちに声をかける。
「あれって先輩?」
「がら悪くない?」
あたしを含めた5人が小さな声で話をしていた。
「近づいてきとるやん!逃げよう!」
とっさに逆を向いて逃げようとしたとき肩を掴まれた。
「お前何年?」
え!!あたし?!
あたし絡まれるん!?
「なぁ」
背が高くて怖い先輩に何も答えられずかまえることしか出来ない私。
「…携帯、持ってない?」
携帯?こいつ…何。
「持ってます…」
「貸してん」
いきなり言われ指示通りにポケットから携帯を取り出す。
「ありがと」
そう言われ携帯が手元に戻ってきたのを確認して、正面を向くと先輩は友だちの所に戻っていた。