君の手。僕の手。

振り返らず、教室を出た。
学校を出て彩華に電話をかけた。

何度も何度も彩華を呼ぶ呼び出し音が聞こえる。いつもならすぐに出てくれる彩華なのにこんなときに限って出ない。



めずらしい。



いつもは彩華がしつこいからたまには私がしつこくってもいいかな。



何度かけても、彩華は…


気付けば、15分以上経っていた。



「もしもし?」



呼び出し中から通話中に変わり、急いで受話器を耳に当てる。


「りッ…ひゃ…」


ブツッ…


「あら…もしもーし」


いきなり電話が切れて、かけ直しても繋がらなかった。




だから…




だから心配になって…




ただただ真っ直ぐあの場所へ走って行ってた…初めて遊んだときに彩花が話してたみんなの溜まり場…

子供みたいでいつもうるさいけど…彩華、待ってて。




「…てめぇ!裏切りやがって!!」

「…ゥッ…ち…がう…ッて…」

「黙れよ!!」

橋の下から聞こえた怒鳴り声…

橋を下りて駆け寄ると男や殴りかかる女…複数の人間がいた…

「璃…香…」

彩華は顔が殴られ腫れ上がり口から血を出して制服がボロボロになっていた…



そして私を見つめていた…



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