君の手。僕の手。
「誰だよ。お前」

男が話かけてきた。見たこともない…私の知らない男。

「あんたが誰?私、彩華の連れだけど何か文句あんの?」

「連れ(笑)?笑わせんなよ!」



男はポケットからナイフを出し、ちらつかせた。

「殺られたいか?」

「…」

「びびッてんのかよー!」

周りにいた人間が笑っていた。

ナイフを持った男を見つめ手を見た。

"震えてる。"

「びびってるのはあなたでしょ?」


なんなのこの場所。何が溜まり場なの?ここにいて彩華は何が楽しかったの?


こんなの…仲間じゃないよ。怒りや寂しさ埋めるためだけの場所じゃん。


空気が緊張に包まれた…




「殺ってみれば」


男の手首を握り左胸に当てた。



「刺せないなら最初からそんなもん出しちゃだめだよ」


手首を離し睨み付けた…




「うわぁぁぁ!!」

叫び声と共に悲鳴が聞こえた…

その瞬間右目が血で染まった…

「わ…ッ…あ…」

ナイフを持っていた男がナイフを落とし腰がくだけたように後退りして仲間を連れて逃げて行った…。



何が起きたかわからない私を、彩華が見つめて汚れた手で顔を覆っていた。
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