君の手。僕の手。
「おはよう」
にこっと龍也が笑った。
「ぅ…ん」
寝ぼけた私の顔をむぎゅっとして龍也は言った。
我に返り顔を隠し恥ずかしそうにする私の手を掴み顔を隠していた手を外して龍也は言った…
―…
真剣な顔になり優しくまた頭をなでた…
時間になりカラオケを出て彩華と聡君は二人になりたいと言って街に行った。
沈黙が続いたまま歩いた。
「どこ行く?」
「どこ行こぉ…」
緊張してあまり喋れず下を向いてばかりいた…
「なぁ…璃香?」
「んー?」
「俺さぁ…」
龍也が何かを言いかけたとき目の前に見たことのある人がいた…すれ違い顔を確かめた。
"リュウジ…"
そう確信し振り向いた…
「璃香?」
「あっ…ごめん」
「知り合い?」
「ううん。見間違いかな…でー…何?」
「何でもない…どこ行こうか」
「龍也の家ーっ」
「はぁーっ俺ん家ぃ?」
「んー何かされそうだけんやーめた!」
「何もせんやろ普通ー」
そう笑いながら龍也の家についた。
「おじゃましまぁす」
「あぁ、親いないから別にいいよ。」
「龍也一人っ子?」
「うん。」
シーンとした家の中は冷えきっていた…