君の手。僕の手。
それから何十分かたち携帯が鳴った。
「もしもし…」
「璃香、今バイクの音聞こえるか?」
「バ…イク…?」
携帯を耳元から離し耳をすませた。
「聞こえる…」
「立てる?」
ゆっくりまた木にしがみついて立ち上がった…
「待ってろ」
その言葉のあとにバイクの近付く音がした。
目の前に光りがさしヘルメをかぶらずタオルを口元にまきサングラスをしている男の人が乗っていた。
怖くなりしゃがみ込みボロボロになった服を握り体を隠した…
男の人は近寄りタオルをずらした…
「璃香…」
その声に振り向き見つめた…
「龍…也…?」
龍也は黙って強く抱き締めていた…
震えた体が落ち着いた。
「ごめん…」
龍也は重い口を開き私に謝ってきた…恐怖が一気に安心へ変わり涙が溢れた。
龍也は必死で泣く私を強く抱き締め頭をなでてくれている…
「璃香…安心しろ…」
「ンッ…龍也…ッ…ゥッ…」
「怖かったよな…ごめんな…」
それから何時間も泣き続けた…
「…璃香」
泣きやんだ私は龍也の腕の中で寝ていた。
「乗れ」
龍也は龍也が着ていた上着をかぶせバイクの後ろにのせた…
「掴まっとけよ。飛ばすから。」
龍也はタオルを結び直し私の腕を引っ張りTシャツを掴ませた。
バイクを吹かし走り出した…