君の手。僕の手。

無意識の内に手首を切っていた。

「私…生きてる…」

少しだけ安心出来た。

リビングに行き包帯を探した。

いつの間にか血は固り濁った色になっていた。

携帯が鳴り…

"着信:彩花"

「璃香?今どこいんの?」

「今家だよ」

「もぉ!探したんだよ!早く龍也君家戻ってきなよ!」

「無理だよ…」

「何で?龍也君心配してるよ?」

「ごめん…無理…」

そう言い電話をきった。
部屋に戻りコンポをつけ大きな音を出した。

龍也の部屋で流れていた洋楽の曲が流れた…
龍也と私は同じCD・アルバムを持っていた。

一ヵ月毎日隣にいた龍也。

起きると笑ってじゃれ合っていたのに…

布団に潜ると龍也の腕枕を思い出した…

カーテンを閉め部屋の電気を消し真っ暗な部屋で爆音と共に泣いた。

「龍也…龍也…」

布団から出れずにいた…

"龍也に会いたい…"

そう心は言っているのに体は龍也を拒んだ。

"龍也も男なんだよ…"

胸がずきっと痛んだ…

"璃香"

笑顔で呼ぶ龍也…心配そうに見つめる龍也…朝起きたら腕枕しながら寝言で名前を呼ぶ龍也…全部が大好きで私の中でいつの間にか大事な人になっていた龍也…

龍也がいないと…

龍也の側にいないと…

私の頭は龍也でいっぱいだった…



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