君の手。僕の手。

龍也の声と昂ちゃんの声が聞こえ目が覚めた…。

龍也はあたしの頭をなでている。

龍也の手はやっぱり眠くなる…。

安心してもう一度眠ろうとしていた。

眠りそうなあたしの耳に龍也と昂ちゃんの会話が途切れ途切れに聞こえてきていた。

「えッ…?じゃあ龍也さんは引っ越すんですか?!」

「あー…来週あたりに…引っ越す。でも璃香にはまだ言えてない…」

耳を疑った…

寝そうなあたしは一気に目が覚めた。

そして龍也の言葉に涙がこぼれた…

その痛みは言葉じゃ表せられないくらいの痛みで…何かが突き刺さるような痛みだった。

「どうするんすか…」

昂ちゃんが龍也に聞く。

「話さなきゃなぁ…」

「美花…傷つきますよ。あいつすげぇ傷つきやすいっすからね。」

「…まぁ今日中には話すよ」

涙を我慢して寝たフリをしていた…

そして昨日一緒に歩いて話してた龍也の笑顔を思い出した。



ねぇ龍也?

龍也はあのときわかっていたの…?

離れること…

会えなくなること…

なのにあんなに笑顔で会話してたの…?

無理して笑ってくれてたの…?

龍也…教えて…

あたし龍也が無理して笑ってるなんて気付かなかったよ…

龍也…痛いょ…。


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