君の手。僕の手。

龍也の腕の中にさらにうずくまり声が聞こえないようにした。




"嘘って言って…"




心の中で何度も叫んだ…




それからまた何時間か寝ていた。


起きたときには龍也がいなかった。


「おはよぉ」

彩華の声で起き上がった。


彩華はあたしじゃなく聡君に声をかけていた。


「聡ぃ、今日どうするー?」

「んー…」

聡君は眠そうに彩華に抱き付いていた。

「や…やだぁ…ッ」

仲良くくっつく彩華と聡君を見て嫌気がさし部屋を出ようとした。


「璃香起きとったと?!」

「朝から元気やねぇ!」

からかうようにあたしは言った。

「龍也どこ行ったん?」

「コンビニに飯買いに行ったよ!」

聡君は彩華にくっつきながら答えた。


「龍也んとこ行ってくるわぁ」


そう言って部屋を出た。

シーンとした龍也の家に響くのは彩華と聡君の声だけだった…



玄関のドアを開けると昂ちゃんとヒロが何かを話していた。

「璃香!」

「何してんのー?」

「今から帰ろうと思って!」

「そっかぁ…龍也のとこまで送ってくれん?」

「えぇよ!」

そう言い龍也のとこまで送ってもらった。

夏の日差しが熱く痛かった…



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