君の手。僕の手。
No.7//:忘れかけた優しさ
「…辛かったよね…」
龍也の母親はそう言ってあたしを抱き締めた…
「一人にさせてごめんね…璃香ちゃん…辛いのにごめんね…」
その声は震えていた…
龍也の母親はあたしがレイプされたことを知っている。
でも"レイプ"と言う言葉を出さずにただただ抱き締めてくれた。
あたしの母親に言われたかったことば…
"辛かったね…"
龍也の母親は優しく頭をなでてくれていた…
「泣いていいからね…璃香ちゃんの味方は龍也だけじゃないのよ。私も璃香ちゃんの味方。」
龍也の母親はあたしを見つめて言った…
母親の温もりを感じた…
「お母さん…」
急に自分の母親の笑った顔を思い出し…泣き出した…
龍也の母親は優しくあたしを抱き背中をさすってくれた…
小さい頃から両親が働く姿を見ていた…。
保育園のお迎えは必ず祖父か祖母。
でも母親はあたしに優しかった。
いつも笑顔で寝るとき抱き締めてくれていた…
いつの日かあたしから離れて寝るようになった…
成長した証拠だった。
でも母親はあたしが小学校に入った頃から家に帰ることが少なくなった。
毎日が寂しかった…
お母さん何してるの?
何時に帰るの?
あたしの口癖だった…