君の手。僕の手。

怖くなり彩華に電話をした。

「もしもしぃ?」

「今…暇?」

「暇だよ今から龍也君家に聡と行こうとしてたとこ!」

「そっか」

「璃香…?」

「ん?」

「どこいるの?」

彩華の声が暗くなった…

「…家」

「今から行ってもいい?」

「ぅん」

彩花は電話を切った…

また一人になり涙が溢れた。

怖い…怖い…

カミソリを持ち震えた右手で左手首をきりつける…

カミソリを落とし泣いた…

上を向いても涙は止まらず…

ただ痛んだ手首が生きてることを実感させていた…。


携帯が鳴りメールを受信していた…

「璃香今何してる?」

龍也からのメールだった…


龍也…ごめん…ごめんね…また切っちゃった…

"切るなよ…"

部屋で交わした約束…

龍也は真面目な顔をしてあたしに言っていた。


その光景がよみがえり涙が途切れることはなかった…

「さみしい…」

その5文字を打つのが必死だった…

震えた指を必死で動かしていた…。







携帯を開くと彩花からメールがきていた。


「着いたよ」


玄関に行きドアを開けた…



「彩華…」

彩華は息を途切らせながら走ってここまできてくれた…

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