君の手。僕の手。
「あー暑い!」
彩華は部屋に入り一言言った。
「てかぁ璃香があんま暗い声だったからコンビニから必死で来たんだよ!」
コンビニの袋からジュースを取り出しフタを開けた。
パンッ…
「…」
ジュワァ…ッと音を立てて炭酸がこぼれた…
「あ……」
床にジュースがこぼれ二人はそれをじっと見つめた…
「た…タオル!!」
彩華の声で我にかえりタオルを出して床を拭いた。
「は…はははっ…」
苦笑いをしてあたしのほうを向いた。
「…彩華…これ…まじない!!」
「ごめん!本っ当ごめん!」
この会話がなぜか懐かしかった。
二人で笑いあっていろんなことを話した。
彩花は幸せそうに聡君の話をしていた。
「聡はね…」
から始まる会話は何度も続いた…
「璃香…龍也君璃香のこと大好きなんだよ」
急に彩華は言った…
"龍也"
という名前を聞くだけで今は辛い。
「引っ越すこと…聡から聞いてた…」
言わんで…
彩華…今は龍也の話…聞きたくないよ…
あたしは心の中で叫んだ…
目の前が涙で滲みぼやけてはっきりと見えない…
彩華が何を言っているのかもわからずただ涙がこぼれるのを我慢した。