君の手。僕の手。

「璃香ぁ?」

お母さんの声がして部屋を出た。

「帰ってたの…お友達来てるの?」

「うん…ただいま」

「おかえり。今日はお友達も一緒にご飯食べなさい。」

お母さんはにこっと笑った。

久しぶりに見る母の姿に安心を覚えた。

「彩華ご飯食べる?」

「食べたい!」

彩華は笑っていた。

龍也の存在を忘れ彩華とたくさん笑った。

「璃香のお母さんどんな人なの?」

「んー…優しい…」

「それだけ?」

「あんま記憶ない」

「ふーん…」

「彩華のお父さん優しい?」

彩華には母親がいないことを前に話に聞いたことがあった…

「お父さん…?全然会ってなぃ…」

彩華はうつむきながら答えた…

二人の沈黙を破るかのように母が呼んだ。

彩華を連れてご飯を食べた…

久しぶりに食べる母の味が懐かしく…おいしかった…

ただ黙って食べていた。

母親はまたどこかに出かけて行った…




ふと彩華を見ると肩が震えて目を押さえていた…


「おいしぃ…」

彩花は震えた声で言った…

「あたし…お母さんいないから…ずっとお母さんの手作り食べたことなくて…」

彩華は泣きながらゆっくりご飯を口に運んだ…

あたしも母の優しい味に涙した…

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