君の手。僕の手。

夜になり彩華が聡君に電話をかけていた。

「うん!わかったぁ」



コンビニまで彩華を送り聡君を待った。

バイクの音が聞こえ聡君がきた…

その後ろには龍也がいた…。


聡君はサングラスを外して笑っていた。

龍也は聡君の後ろにいた。


「龍也…」


小さな声で名前を呼ぶが前に進めなかった…

目の前で仲良く手を繋ぐ彩華と聡君…

その後ろに龍也があたしのほうを見ていた…


「璃香…?」

彩華が振り向きあたしを呼んだ…

「あたし…帰るね」

龍也に会いたくなかった…

走ってその場から離れた…


今龍也に会えばあたしは泣いて離れなくなるから…

まだお母さんにも謝ってない…

でも龍也に会いたかった…


龍也に…






「龍…也…ッ…」


走っていた足が止まりその場で泣き崩れた…

本当は会いたかったのに…

そばにいたかったのに…

「龍也ぁ…ッ…龍…也…会い…たい…ッ…」


届きもしない声を必死に出して叫んだ…

光りがさし近付くバイクの音に振り向いた…



「美花…?」



バイクのライトの光りで顔が見えなかった…

ライトが消え足音がゆっくり近付いた…。
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