君の手。僕の手。
ずっと目をつぶって龍也の背中から一瞬も離れないように強く強く抱き締めていた。

抱き締めた背中はじわじわと汗で湿っていた…

バイクが止まり顔をあげると夜景の見えるとこまできていた…

バイクを下りヘルメを外しその夜景を眺めた…

すごくきれいで…

言葉も出ず…

ただ眺めているだけで何か熱いものが込み上げてきた…

龍也はあたしの隣に立ち黙ってあたしの左手を握った…

「龍也…龍也の手…あったかい…」

夜景を見つめながらあたしはつぶやいた…。

涙が溢れそうになりキラキラと輝く夜景が滲み…光がぼやけ…必死で涙をこらえたけれど頬を伝い…地面に落ちた。

乾きかけた私達の心に染み込むように涙は何度も頬を伝った…


「璃香の手ちっちゃいな。」

龍也はつぶやき龍也の手の中にある小さなあたしの手をぎゅっと強く握り締めた…





その手は大きくて…

優しくて…

今でも感触が残っている…。





ねぇ龍也…あたしね、このとき心の中で願ったんだ…。
"離れてもずっとお互い必要な存在でありますように"

って夜空に向かって願ったんだ…。



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