君の手。僕の手。

「ねぇ龍也ぁ…あたしね本当は引っ越してほしくないんだ。

でも…我慢する…。

あたしも龍也に頼ってばっかりじゃ何にも成長出来ないもん…。

寂しいけど離れても大好きだから。

ずっと大好きだけん…」

強く握られた手を強く握り返して涙をこらえた…

震えた声は涙を我慢しているのを龍也にわからせているようだった。


「この夜景…ずっと忘れんなよ。一生に一度の思い出。次は車で連れてきてやっから!俺も離れても美花が大好きだけん…」

お互い見つめ合うことはなかった…

震えながら握り締める手が泣いてるのを実感させた…

お互い寂しがりで…

一人が嫌いで…

必要としていた…



「もう少しだけここにいたい…」

「好きな時間までおってえぇよ。璃香、わがままだから」

龍也は笑いながら言った…

「そんなことないもん!」

龍也は強がるあたしを見つめた…

強く握った手が離れ龍也はあたしを抱き締めた…

「あー!むかつく!」

龍也は抱き締めてそう叫び鼻水をすすりながら涙を我慢していた…

「鼻水落とさんでょ?」

あたしはふざけながら震える声で龍也に言った…

「うるせーよ。」

お互い笑っていた…

龍也…離れんで…

ずっとずっと抱き締めとって…。


考えるだけで涙が次々と溢れた…。



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