君の手。僕の手。

立つことが出来なくなりあたしはしゃがみ込んだ…

「やだ…ッ…やだよ…」

あたしはずっと泣きながらその言葉を繰り返し言った…

龍也は目の前にしゃがみ込みあたしの頭をなでてくれた…

「行かんでよ…離れんでよ…一緒…おって…」

必死に龍也のTシャツの袖を掴み泣いた…

「泣くな…」

龍也は泣きながら言った…

龍也はあたしのほっぺをつまみ引っ張った…

「笑えよー。」


龍也を見ると涙でぐしゃぐしゃになった龍也がいた…

こんな龍也を見たのは初めてで…

苦しくて…

切なかった…。

「お前も笑えーっ」

あたしは龍也の真似をして龍也のほっぺを引っ張った。

お互い笑い涙を拭いた…。

龍也の手はあたしの頬を…

あたしの手は龍也の頬を…

笑いながら拭いた…。



龍也の泣いた顔を見たのはこれが最初で最後だった。


「少しの間会えなくなるけど…5月になったら俺一人暮らしするつもりやけんいつでも遊びこいよ」

「…5月ってまだあと9ヵ月もあんじゃん…馬鹿」

「まあ!気にすんな!」

「そんな会えんと寂しくて急に会いに行くかもしれんやん」

「冗談。でもいつ会えるかはまだわからんけん…」

そんな会話を交わしたあとバイクに乗り家まで送ってもらった…。

龍也の背中が夜景が見える場所に来るときよりもあったかく感じた…。



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