君の手。僕の手。
時間がたつのはあまりにも早かった。
龍也が引っ越す3日前。
あたしと龍也は部屋の片付けをしていた。
いる物といらない物にわけて整理していた…
目についたのは棚に置いてある3冊のアルバム…
1冊は家族の…
1冊は友達…
1冊は友達と元カノの写真が入っていた…
その棚を見つめ手の動きが止まった…
あのアルバム…龍也はどうするのかな…
いる物として持っていくのかな…
でも捨てて何て言えない…
複雑な気持ちのままアルバムに手をかけようとした…
「アルバムどおするかなぁ…」
龍也は言った。
「親父はこっち残るから1冊だけ置いていくかな…」
「お父さんは残るの?」
「親離婚して再婚相手のとこ行くらしい」
そう言いながら龍也はアルバムを開いた…
3〜4枚の写真を取り出し灰皿の上に置いて写真の端をライターで火を点けた…
あたしは写真を焼いてる龍也の顔を見た…
何か考えるように…
真剣な顔をしていた…
"きっと龍也は未練があるんだ…"
龍也の顔を見つめているとそんな気がした…
目の前が滲み涙が出そうになった…
それを隠すようにあたしは龍也から背をむけ片付けを続けた…。