君の手。僕の手。


窓の外は明るくなり龍也の家の前にトラックが止まった…

「おはようございます!」

と挨拶をしたトラックの運転手と荷物を運ぶ人達…

龍也の部屋の荷物が全部なくなり龍也とあたしが一緒に寝ていたベットも運ばれた…

「寂しいね…」

「うん…」

龍也とあたしは二人で何もなくなった部屋で静かに会話を交わした…。

外に出ると太陽が眩しかった…。

「璃香、寂しくなるけど次会えるまで我慢しろよ」

「ぅん…」

「電話はいつでもしていいから…」

「ぅん…」

「学校…ちゃんと行けよ?」

「ぅん…」

龍也の言葉に対して何も言えないあたしは黙って下を向いていた…

「はい…」

龍也はしゃがみ込んで小さな箱をあたしに渡した…。

「お守り!俺が車のってから見ろよ」

龍也は笑って頭をポンポンと叩いた…

「いつでも遊びにおいでね!」

龍也の母親は手をふって龍也を車に乗せた…

あたしは龍也に手をふった…

精一杯の笑顔で手をふった…


車が遠くなり…

目の前は滲み…

頭の中には龍也の笑顔が印象強く残っていた…

「…行かんで…」

車が見えなくなりあたしはその場に座り込んで泣いていた…

龍也はもうここにいない…

カーテンが外されて部屋の中が丸見えになった龍也の部屋を見つめた…

あの場所には龍也とあたしの幸せがあった…。


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