春風が通りぬけるとき。
冬
好きなのは貴方。
「真帆っ! また明日ね!」
「…じゃあな」
真帆と呼ばれた少女は手を大きく振ってくる親友に同じように振り返すと、ふたりは笑顔で話ながら背を向け、歩き始めた。
そんなふたりをぼんやりとおもむろに眺める。
あたしは萌の親友で
田原はその親友である萌の彼氏。
(そんなこと、自分が一番よく分かってるのに…)
ギリッと唇を痛いほど強く噛み締める。
どうしてあたしは…、
貴方のことを
──好きになってしまったのだろうか?
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