春風が通りぬけるとき。
「……田原は、幸せ?」
「は?」
ぱちくりと目を瞬かせる。
真帆はやっと彼に向き直った。
「……萌と一緒にいることが出来て、幸せ?」
「……」
彼は彼女が何を考えているのか探ろうとするが、それはかなわない。
「どうなの?」
「……あぁ」
彼は一旦言葉を区切る。
「幸せだ」
そしてそう口にすると、真帆は嬉しそうにふわりと優しい笑顔を浮かべた。
「そっか」
(…確かめたかったんだ)
彼がそう答えるだろうと分かっていたけれど、それを彼自身の口から聞きたかった。