春風が通りぬけるとき。
田原と萌が付き合い始めてから、段々と弱くなっていってしまったのだ。
弱くなった分だけ、涙は止まらずに溢れ出る。
実のところ、田原とはあまり話したことがない。
接点がなかったし、何を話したらいいか分からなかったから。
でも、それは不思議と無くなっていた。
田原と普通に、他愛もない話も出来る様になった。
だけどそれは全部、萌が彼の彼女だからで。 その彼女と親しいのが真帆だった、だからきっと話しかけてくれるのだろう。
萌のことが、知りたいから。