春風が通りぬけるとき。


羽織っていたコートとマフラーをハンガーにかけると、冷たい、冷たい色をしている水色のベッドに弱々しく飛び込む。

感触は柔らかいけれど、色と同様にぬくもりなど微塵も感じなかった。

冷たい、ただ、それだけ。

内心、冷たいのは当たり前で、色だって実際のところ関係ないと思う。

けど、どうしてもそう考えてしまう自分がいるのも事実だった。


そして今日も、冷えたベッドの中で


「…っく」


外に漏れない様出来る限り声を押し殺し、布団と毛布をいっぺんに被せ、頭の芯まで潜りこんで。


ひとり、泣く。



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