春風が通りぬけるとき。
田原にも、萌にも。
何より自分自身のために。
「それが、貴方の答え?」
「はい」
顔を上げた少女の表情は柔らかくて、一歩の成長が読み取れた。
「先生、ありがとうございました」
立ち上がり、頭を深く下げる。
「いいえ、私は何もしてないわ。ごめんなさいね、役にたたなくて」
先生を見やれば、申し訳なさそうに眉を寄せていた。
「そんなっ! 先生のおかげであたし、迷いはもうなくなったんです」
だからそんなことありません、と力強く発すれば、彼女は嬉しそうに微笑みを浮かべた。