春風が通りぬけるとき。
(冷たい…)
痛い程の冷たさに一度手を引っ込抜くと、数秒固まる。
そしてまた、手を水につける。
今は冬だ。
冷たいのは当たり前なのだが。
家ではお湯が出るのでこういうときどうしても家がいいと思ってしまう。
(何で学校の水道ってお湯が出ないんだろう…)
とどうでもいい疑問符を浮かべながら、バシャッと冷えた水道水を顔に被せる。
「…っ!」
冷たすぎて声を上げそうになったがなんとか抑えた。
それを嫌々ながら繰り返していると、ちょうどタイミングよく授業終わりのチャイムが鳴り響く。