春風が通りぬけるとき。


蛇口を捻り戻し、水が流れない様にする。

そして持っていたハンカチをブレザーの右ポケットから取り出し、顔を拭く。

前髪からポタリ、とたまに水滴が落ちる為、濡れた前髪も一緒に拭ってやる。

あれほど静かだった廊下が段々騒がしくなってきた。

教室を出て友達のところへ遊びに行ったり、または廊下で話でもしたりしているのだろう。

チラリ、と六組のプレートがある教室に目を向ける。

ガラリと音をたて廊下に飛び出しているクラスメートがいるので、どうやら六組も授業が終わった様だ。



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