春風が通りぬけるとき。


「お前も知っての通り、俺は萌と付き合ってる」

「……うん」


(やばい…)


ギュッと拳に力をいれ、下唇を噛む。

フラれると理解していて彼に告白したのにも関わらず、涙が出そうになる。


(……結構、キツいなぁ)


思っていた以上に心にズーンとくる。

まるで大きな鉛を飲み込んだみたいに息苦しい。


「……でも、お前の気持ちは凄く嬉しい」

「え…?」


真帆は驚いた様に目を見開かせた。



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