春風が通りぬけるとき。


重い足を引きずりながらも、教室に歩みを進める。

廊下は静けさが漂っており、人通りが少ない。

部活をやっている生徒達もそれなりにいるが、文化部が活動している部屋は別校舎にあるため、ここらは小さな音さえ大きく聴こえる程、しんとしていた。

開け放たれた六組の教室は、誰もいなかった。

ヨロヨロと頼りない足取りで自分の席に辿り着き、鞄を手にする。

すると、さっきまであんなにゆっくりだったのが人が変わった様に早く歩きだし、しまいには走りだした。

普段の彼女ならば、緊急事態でなければ走るなどしないであろう。

素早い動きで上履きから靴に履き替え、また腕を振り上げる。

途中、冷たい風が度々吹くがそれは少女に哀しさと淋しさをより一層、積もらせるだけだった。



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