春風が通りぬけるとき。
おぼつかない足取りでベッドに近づく。
ベッドに自らを投げることはせずに、代わりに水色をした無機質な横長いものに、まるですがりつくみたいに床に座り込む。
そして、声を張り上げた。
ただただ、泣き叫ぶ。
涙が次から次へと溢れだすのにも関わらず、彼女は拭うことはしない。
今までの彼女は、例え両親がいない家にひとりだったとしても、決して大声を出し泣き喚くことはしなかった。
それが今は、叫ぶ様に今までの彼への想いをぶつけるみたいに涙を流している。
きっとそれは、彼女が彼を好きになったその時から溜め込んできたものなのだろう。