春風が通りぬけるとき。
毎日毎日、萌と田原を目にする度に辛くなって。
家でひとり、声を殺して泣いていた。
気持ちを隠す様に、押さえ込むみたいに。
けれど、もうその必要はない。
きっと、大声で田原を想いながら親友を思いながら泣くのはこれで最初で最後だろう。
だから、例え頭が痛かろうが苦しかろうが何だろうが、気がすむまで泣く。
そうしないと、この恋心だってガムみたいに粘りついたまま剥がれない。
吹っ切ることが出来ない気がするから。