春風が通りぬけるとき。


「うぁ…、…ぁあ……」


ここまで大泣きしたことなんて、今まで生きてきたこの十六年間の間、一度だってあっただろうか。

多分、ない。

あったとしても、それは記憶もないくらい幼い頃だと思う。

ヒック、しゃくりあがる。


(頭…、痛い)


ゲホゲホとむせ、胸が苦しい。

それでも、涙が止まることはなかった。



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