春風が通りぬけるとき。
じぃっと何気なく床に倒れているワイシャツを見る。
そして何を思ったのか、パンッと手を叩きワイシャツ等の衣類を両手で抱えたまま部屋を出た。
階段を慎重におり、ある一室の扉を開ける。
シンプルな白い壁が広がり、真帆の部屋よりも小さい。
機械がひとつと、洗面所、それから奥はどうやら入浴所になっているようだ。
機械を開け、衣類を入れて完全に閉めてからピッピッとボタンを押す。
すると、ガタガタ揺れながら洗濯機が動き始めた。
それを彼女は横目で見やると、洗面所に向かい蛇口をひねり水を流す。
冷たい水を手ですくいながらバチャッと顔を覆う。
お湯でもいいのだが、水の方がスッキリするので顔を洗う時はいつも水を使っている。