春風が通りぬけるとき。
「じゃ、行こっか!」
「……うん」
「……お、おぅ」
テンションが高いのは萌だけで、真帆と田原は随分と低い。
「あれ? ふたりともどうしたの?」
不思議そうに首を捻り、こちらに目を向ける。
「…何でもない、よ?」
「あ、あぁ。そう、何でもねぇから」
「ふーん…」
何か奇妙なものを見るような目付きでふたりを見つめるが、どうやらそれは一瞬だったみたいで。
「んじゃ、レッツゴー!」
真帆と田原を引きずるようにして中に消えていった。