春風が通りぬけるとき。
ガタンゴトン…と揺れる。
窓から見えるのは、ビルばかり。
(……やっぱここ、都会だね)
彼女等が住んでいる場所もそれなりに都会なのだが、ここはもうそれを超えてるというか。
電車の中は決して人は少なくない。
大人だけでなく、同じくらいの年齢の子やそれ以下の子供もいる。
(流石、休日)
どちらかというと、子供の方が多いかもしれない。
何故、彼女がこんな風に人間観察的なものをしているかと言うと。
先程から流れている、この居心地が悪そうな空気のせいだ。
(そりゃあ、こうなるよね)
彼はまたいつも通り仲良くしてほしいと言ってくれたがそんなすぐには無理なことは分かっていた。