【歪童話】眠りの森の茨姫
「ついたぞ!」

扉を目の前にして希は体力を一気に回復させました。

「よし、じゃあ入ろう」

「待て間男」

希は扉を開けようとする蒼の肩を掴みました。

「私の姫だ。私が先に決まっているだろう」

「ここまで連れてきたのは誰だと思ってやがる!」

「なんだと色魔!借りを返させてやったじゃないか!」

「だったら平等だろ!」

二人は掴み合って罵りました。

ぎい。

そのとき扉が開いて二人は勢い余って部屋の中に倒れこみました。

「あ……」

そこには、こちらを見て呆気にとられている男と、その男の腕にもたれかかって潤んだ瞳で男を見つめている姫がおりました。
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