希望の唄~運命とぶつかった純愛の物語~
「え!?」
あたしは声のする方に振り向く。
「・・・泉・・・せんせ・・・」
そこには顔を歪め、鍵をチリチリと揺らす泉先生がいた。
「お前・・・紗恵、だよな?」
「・・・覚えてんの?あたしのコト。」
「ああ。教育実習んとき、居ただろ?」
「・・・へぇ。そんなコトってあんだ・・・」
あたしはそう鼻で笑う。
でも本当はどんなに嬉しかったか。
あたしは胸がざわつくのを感じた。
「・・・で?何やってんだ?超はえーぞ?」
「・・・聞いてどうすんの?あたしを家に帰す?」
「それは・・・」
「あたしは帰らないよ。・・・てゆーか、帰る家なんかない」
「どういうコトだ?」
「センセーにはカンケーないっしょ。」
知られたくない。
あたしのコトを、先生に知られたくない。
きっと、先生は優しくしてくれる。
・・・それに甘えてしまうから。
―――知られたくないの。