希望の唄~運命とぶつかった純愛の物語~
ついた頃には日も暮れていた。
救急車と野次馬が困惑を起こした。
俺は止める人を無視して香奈子の元へ走った。
「香奈子!?香奈子!!聞こえるか!?俺だ!!泉だ!!」
必死に叫んだ。
俺は香奈子の冷たい手に触れた。
「おい!!香奈子!!目を覚ませ!!」
俺は幾度となく繰り返す。
「―――ぃ」
「…え?」
「ぃずみ…」
――時が止まったと思った。
雑踏に消えそうな弱々しい声で、香奈子は俺の名を呼んで――
――笑ったんだ――
「香奈子!!」
「…ぃて……だ……」
「え?」
「…来て…くれたんだ…」
香奈子の頬は濡れていた。
「泣くなよ……バカ……」
そう言っている俺も泣いていた。