希望の唄~運命とぶつかった純愛の物語~
「ふぅ・・・」
あたしは昇降口に来ると荒れた息を整えた。
そして息を吸い、また歩き出そうと思った。
「紗恵って、あんたよね?」
「え?」
振り向くときつい目をした女子が仁王立ちしてこちらを見ている。
「あんたがうちの浩貴をたぶらかした女よね?」
「・・・誰ですか?あなた。」
「篠田美咲。坂口浩貴の彼女。」
「そう。・・・で、要件は?」
「は?」
「たぶらかしたとか何とか言ってるけど、短期間付き合っただけよね?まるで篠田さんには関係ないように思えるけど。」
「うちという彼女が居ながら、浩貴はあんたと付き合ったんじゃねぇのか!?」
「そんな事情は初耳。それなら当たる相手はあたしじゃなくて浩貴って人じゃないの?」
「男好き!ちょっと可愛いからって、調子乗んじゃねぇ!!」
篠田さんはあたしを突き飛ばし、あたしはその衝動で尻もちをついた。
「殴って気が済むなら殴れば?確かにあたしも悪いし」
「なっ、何なのよ!?」
「でも、これを浩貴って人に言ったらどうなる?即破局するよ」
「うちと浩貴の絆はそんなもんじゃないし!」
「じゃあなんで浮気なんてしたんだろうね」
「ふざけんな!」
そして篠田さんはあたしの頬を叩いた。