希望の唄~運命とぶつかった純愛の物語~


あたしはギターを構えた。


歌うのは希望を描いた歌。


結構十八番。


“信じてるモノ全部 嘘で作られてたっていい


 何もかもない世界より ずっと楽でしょ


 忘れられない過去 描いてた未知の未来も


 不安定だから掴みに行くんだ


 肩書も枠組みも 僕には必要ないんだ


 忙しない時全てが 僕に教えてくれてる


 大切なモノは近すぎて 見えないんだって”



「おわり。」


すると後藤君は手を叩いて感動してくれた。


「すごく、よかった・・・」


「ありがとう・・・」


「なんか、井上さんらしい曲だった」


「あたしらしい?」


「うん。・・・イメージだけど。広くて遠くて消えそうなのにそこに存在感はあって。近いのに届かなくて・・・綺麗なのに儚い」


「後藤君・・・」


「才能、あると思う」


後藤君は初めてこんなにハッキリ笑った。


さっきの体の異変も忘れられるくらい。


ずっといい日になった。


・・・楽になれた―――。



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