希望の唄~運命とぶつかった純愛の物語~
――バタン!
あたしは自分の部屋の扉を閉める。
「悔しい…」
あたしは床にへたり込む。
もう気持ちはボロボロだった。
家庭は唯一落ち着ける場所である筈なのに…
――コン
控えめにドアがノックされる。
亮介だ。
「…入って」
あたしは立ち上がると旅行鞄を取り出し、中身を詰め始めた。
「…お姉ちゃん、どこ行くの?」
「長野の別荘。…もうこんなとこに住んでらんない」
「学校は?バンドは?」
「……まだ分かんない。でも、とりあえず出てくわ」
「そんな…」
亮介は肩を落とす。
「…自分で決めなさい。これからどうするかは、亮介だけのことよ」
あたしはそれだけ言うと部屋を出て、家も出た。
季節は雨の匂いがした。