希望の唄~運命とぶつかった純愛の物語~
『まだ、早い』
「え?」
『頼るのは、まだ早い。・・・紗恵は、もう少し頑張んな』
「そんな・・・」
『甘ったれんじゃない!!』
麻友は電話越しに怒鳴る。
「麻友・・・」
『亮介くんが、うちに電話くれたよ。だから、紗恵に電話したら・・・あんた、中途半端に甘えて・・・調子のんな。甘えるんなら・・・頼るんなら・・・最初からうちんち来いっつーの!』
そう乱暴に言う麻友の声は鼻にかかってて、すぐに泣いてるのだと分かった。
『どうして紗恵がうちを頼んなかったか、分かってるよ。・・・まだあんたは、一人で立ち上がれる力がある。だから、中途半端に甘えんな!!』
「・・・うんっ」
麻友はそれだけ言うと電話を切った。
「麻友・・・ありがとっ・・・」
センセ。
一人じゃないみたいだよ。
まだ、あたしを想ってくれる人がいたみたいだよ。
亮介、麻友・・・それにノリもアカネも優子姉も居る。
気付かなかった。
あたしは一人だと、だから一人になっても大丈夫だと思ってたけど。
そうじゃなかった。
・・・誰かが、あたしを想ってくれてて。
誰かが、あたしのために涙を流してくれてて。
そんなみんなを・・・あたしはもっと大事にしなくちゃいけないんだ――。