希望の唄~運命とぶつかった純愛の物語~
「麻友のコト?」
『そうそう。マユって言ってたな。あ~・・・俺まだ完全にクラスの奴らの名前覚えてねぇな。困った』
「ハハハッ。先生サイテー」
『んなコト言われてもなぁ。難しいな、もう俺も歳だわ』
「バカ。まだそんな歳じゃないクセに」
『バカとはなんだ。・・・・で?』
「え?」
『どうした?なんだって家出したんだよ』
先生は麻友からすべてを聞いたようだった。
「先生も知ってるでしょ?おまわりさんの友達なら。・・・あたしの家のコトくらい」
『・・・ああ』
「いつもは母親が父親を責めてたのに・・・ついには父親ブチギレ。母親ビンタしたかと思えばあたしを殴ってきた」
『・・・・』
「痛かったよ、もちろん。・・・でも、もう耐えられなかった。元はといえば・・・あたしがあの家を壊したから。これ以上あの家にいたら・・・あたし自身が壊れそうだったから・・・」
涙が五線譜を濡らした。
――ピンポーン
「あっ、誰だろ。なんか誰か来たみたい。」
あたしはケータイ片手に、ドアを開けた。
「え・・・」
「・・・無理しやがって」
そこには、先生がいた。
あたしが恋をしている、先生がいた。