The Prince Of Hikikomori
「お誕生日
おめでとうございます。ウォルフェンツ第4王子。
今日から
貴方のお傍にいさせてもらうコトになりました、
ムーントレイと申します」
誰もいない12歳の誕生日初めて逢ったムーントレイが
かけてくれた言葉。
「…ムーントレイ?…オレの傍に?」
訳もわからず、
オウム返しをするオレに、
彼は優しく微笑む。
「はい。
これから身の回りの
お世話を
させていただきます」
「ずっと…
ずっと傍にいるのか?
もう…
独りにならない?」
我ながら恥ずかしい…
けど、
ムーントレイが来るまでの
家でのオレの記憶には、
誰かと食事したことも
会話したことも
何もナイ。
淋しかった…
そんな感情さえも
忘れてしまう程の孤独…
「はい。
私は貴方を
独りになどしません。
いつも、
貴方の
声の届く所にいます」
初めて、
温かい笑みを向けられ、不本意ながらも
泣いてしまった。