たる
…あんたが勝手について来たんだろーが!!
「取り敢えず、聞こえたの!!分かった!?」
「はいはい」
「信じてないでしょ」
はい。
「いいえ」
「何よ、その態度。本当に腹が立つ」
そう言ってまた、藍原馬鹿野郎独裁者は歩き出した。
怖がるか怒るか、どっちかにしてほしい。
そしてまた、無言になった。
〇
暫く廊下を歩いていると、一つの部屋にたどり着いた。
藍原馬鹿野郎独裁者は、その部屋の扉を遠慮なく開け、スタスタと部屋の中に入っていく。
僕もその後をついていく。
中は、廊下よりもひんやりとしていた。
暗いはずなのに、何故かそこに飾られている絵だけは、はっきりと見ることが出来た。
それは、赤いドレスを着た、可愛い女の子の絵が飾られていた。
その女の子は、じっと僕たちを見つめているように見えた。不気味だ。
「写真を撮るなら、この絵にしましょう」
藍原馬鹿野郎独裁者は、恐ろしいことを言った。
こんな不気味な絵を、撮れと?
「どしたの?早く撮ってよ」
ははーん。怖いんだな?
急に藍原馬鹿野郎独裁者が可愛く見えた。
「いっとくけど、怖いわけじゃないからね。早く撮――」
―バタンッ
急に部屋のドアが閉まった。