たる

 …あんたが勝手について来たんだろーが!!

「取り敢えず、聞こえたの!!分かった!?」

「はいはい」

「信じてないでしょ」

 はい。

「いいえ」

「何よ、その態度。本当に腹が立つ」

 そう言ってまた、藍原馬鹿野郎独裁者は歩き出した。
 怖がるか怒るか、どっちかにしてほしい。

 そしてまた、無言になった。



 暫く廊下を歩いていると、一つの部屋にたどり着いた。
 藍原馬鹿野郎独裁者は、その部屋の扉を遠慮なく開け、スタスタと部屋の中に入っていく。
 僕もその後をついていく。
 中は、廊下よりもひんやりとしていた。
 暗いはずなのに、何故かそこに飾られている絵だけは、はっきりと見ることが出来た。
 それは、赤いドレスを着た、可愛い女の子の絵が飾られていた。
 その女の子は、じっと僕たちを見つめているように見えた。不気味だ。

「写真を撮るなら、この絵にしましょう」

 藍原馬鹿野郎独裁者は、恐ろしいことを言った。
 こんな不気味な絵を、撮れと?

「どしたの?早く撮ってよ」

 ははーん。怖いんだな?
 急に藍原馬鹿野郎独裁者が可愛く見えた。

「いっとくけど、怖いわけじゃないからね。早く撮――」

―バタンッ

 急に部屋のドアが閉まった。

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