たる
 そんなこんなで、クリスマスというイベントには程遠い場所に、僕は今いた。

 暗く、薄暗い。明かりは手に持っている、懐中電灯しかないのだ。
 周りは木々に覆われているが、一部分だけ木々がなくなってる場所がある。
 そこには、古い、廃屋があった。
 不気味にそびえ立つその廃屋は、堂々と存在感があり、逆にそれが僕の恐怖心を煽る。
 風が木々を揺らし、枯れ葉が擦れる音もまた、僕を恐怖に陥れていた。

 そう、僕は今、町の華やかさとは程遠い、肝試しをしようとしているのだ。
 何故、こうなったのかというと、ゲームに負けたからだ。決して自主的にやろうとしているわけではない。
 当たり前だ。誰がこんなこと、自主的にするか。

 あんなゲーム、するんじゃなかった。
 今さらながら、僕の心の中には後悔が押し寄せていた。



 とある喫茶店に、僕を含めて、冴えない男が集まっていた。
 僕と同じような存在。つまり、モテない男たちが集まっているのである。

「あーあ、暇だな」

 無造作な髪形に黒い髪、眼鏡をかけている男、佐藤が退屈そうに言った。

「それを言うなよ。ここにいる皆、暇だろ」

 そう言ったのは、谷口。茶髪で、耳にはピアスをしている。

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