たる
「たしかに……なあ、暇だからゲームしようか」
「何の?」
短髪で、特にこれといった特徴のない服装の後藤が、佐藤に聞いた。
「ババ抜きだよ」
佐藤の言葉を聞き、谷口は吹き出した。
そして、笑いながら馬鹿にするような口振りで、佐藤に言った。
「おま…ババ抜きって…」
「暇だからいいじゃん。暇よりかはいいだろ。罰ゲームつきの」
「確かに」
あっさりと同意する谷口。
―なら、最初っから笑うなよ。
「じゃあ罰ゲームは、肝試しでいいか。もうすぐクリスマスだからな……その日でいいか」
谷口はまた笑い出した。今度は腹を抱えて。
後藤は、露骨に嫌そうな顔をした。
「どこに行きゃいいの?墓?」
話が進まないと思い、僕は佐藤に尋ねた。
佐藤は「うーん」と言い、考えはじめた。
「あの廃屋はどう?ほら、森にあるじゃん。」
そう言ったのは、露骨に嫌そうな顔をした後藤だった。
「いいんじゃね?そこで」
笑いをこらえながら、谷口も後藤の意見に同意した。
「じゃあ、あの廃屋でいいか。負けた奴は、一人で行くこと!!それと、行った証拠に、中の写真を撮ってこい。当たり前だけど、夜に行けよ。いいな?」
そう言うと佐藤はポケットからトランプを出し、ババ抜き大会が始まった。