たる
 だが蓋をとると、狼の如し、男子なら、誰にでも喰いにかかる。
 そのせいで男子から疎まれている。…女子からには、人気が高いようだが。

「ちょっと、黙ってないで何とか言ったらどうなのよ」

 相変わらずな減らず口に、僕は苦笑いをした。

「藍原は、何をしにここに来たの?」

「あんたに呼び捨てにされる覚えはない」

 ちくしょー。ムカつくな、こいつ。
 僕は怒りを堪えながら、藍原馬鹿野郎に、質問した。

「で、藍原さんは、何しにここに来たの?」

「あんたには関係ないでしょ。で、あんたは何でここにいるのよ」

 あんたには関係ないだろッ!!と言いたかったが、何かと後で問題になりそうなので、堪える。
 てか、藍原馬鹿野郎に、あんたと言われる筋合いはない。

「ゲームに負けた、罰ゲームだよ」

「ダサッ」

 言わなきゃよかった。
 じゃあ、あんたは何でここにいるんだよ。まさか「ここが私の住処よ。ブヒッ」とか言うんじゃねーだろうな。

「で、石橋はさ。まさかここの廃屋に入るつもりなの?」

 おや、まさかまさかの、廃屋自宅宣言が出るのか。

「そうだよ。罰ゲームで。カメラまで撮れとか言われたよ」

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