《完》17歳の医者 ~天才医者は助手に恋した~
――そういえば、幼き日にお爺様聞いたことがあったが、すっかり忘れていた。――

 ふぅっとため息をつき、また手紙に目をやる。


『この訴えに当時の王は怒り、すぐに兄一家や弟子を討つように命じました。

 そして、兄一家と弟子たちを全員殺しました。

 しかし、兄の五歳の娘と一番弟子は密かに生き残り、いったん山奥へと逃げました。

 一番弟子は娘に毎日毎日この事実を言い聞かせ、娘は恨みとともに大きくなりました。

 そして、大きくなった娘は、我がローデンス家に復讐しました。

 以後、復讐しては縮こまりの繰り返しでした。

 そして、次第に衰退し、根絶やしにしたと思っていました。


 しかし、まだ生き残りが二人いました。

 そのうちの一人が、我が助手エクシリオンとしてもぐりこんでいました。

 彼は、我がローデンス家の様子を探り、そしてわが父と叔父を殺しました。

 今までは、直接襲ってきましたが、今回は私たちが気付かぬ間に殺していました。

 そして、いづれは私を殺すつもりだったのでしょう。』



 

 
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