《完》17歳の医者 ~天才医者は助手に恋した~
 ルミナミエは今度こそ、治療を始める。

 とはいっても、道具はないから、魔法しか治療法がない。

 まずは、魔法で体の中を調べる。


――これは、ひどい。
   もはや・・・。――

 この状態は、覚悟しなければならない。

 ルミナミエにとって一番嫌な三文字。

 きっと、魔法のドームが爆発したうえに、無理して魔法をかけたことが原因だろう。

 これは、医者としての判断。

 そう言い聞かせて・・・


「シオン、大好きだよ。ごめんなさい。」

 黒い光。
 これが見えた瞬間、エクシリオンがぱたりと地面に倒れた。

 消えて、ルミナミエは確かめる。

「シオン。シオーン。」

 この涙は、もうエクシリオンには届かない。

 後悔しても、届かない。




< 213 / 222 >

この作品をシェア

pagetop