《完》17歳の医者 ~天才医者は助手に恋した~
 ルミナミエ本人は、英雄としてあがめられたくない。

 だって、あの時の敵だって、愛する人のために戦った。

 ドードレッシ家を全滅させたのは、ルミナミエのおかげではない。

 だが、みんなドードレッシ家を悪く言う。

 確かに、ドードレッシ家は悪いことをした。

 だけど、ローデンス家だって、悪いことを仕返しした。

 結局、正義だって悪がある。
 悪だって、正義がある。 


 世の中は無常で、はかない。

 今日もそのことを思い、ルミナミエはそっとその場を去った。


 
――あれは、なんだったのだろうか?――

 答えは返ってこない。

 いつまでたっても返ってこないだろう。


 
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